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セラフィック・ブリーズ 第十一話・手がかり 昨日までの二日間は、歴史についての書籍を中心に調べた。 歴史上、どんな小さなものでも、同じような事件が無いかを調べるためである。 しかし、サーエイフ地方の歴史については、ゴールドラッシュ以降のものがほとんどで、 それ以前の歴史は記録に残されていない。 そもそもが未開の地であるばかりか、人間が踏み入った形跡もない、 まさに前人未到の地だった場所である。 当時、ある密猟者がサーエイフの辺りで遭難し、 偶然発見したところから、カラコム鉱山の歴史は始まる。 ただ、それまで本当に誰一人踏み入ったことがないわけはないと考え、 その記録が残っていないかと調べたが、やはり見つからなかった。 そこで今度は、魔法や魔物について調べることにした。 今回の事件が魔物の影響や何らかの魔力によるものだと言う可能性も高い。 魔物に関してはもちろんのこと、魔法と言うものにも地方性がある。 海辺では水に関する魔法が使いやすくなるし、 火山の近くでは火に関する魔法の威力が増す。 それは、その土地に魔力が潜在しているからである。 魔法の地方性や生息する魔物は、200年やそこらで突然変化することはないので、 カラコム鉱山発見以降の記録で十分である。 むしろ最新の研究結果が必要になってくる。 しかし、カラコム鉱山は普段は立ち入り禁止となっているため、 資料としての数はとても少ない。 文献によると、サーエイフ地方は大半が岩山で、潜在する魔力の絶対値は少ないとある。 それは、この地方が辺境の地となっている原因でもある。 やはり、火と水の特性がない土地には人は住みづらい。 また、同じような理由で魔物もあまり生息していない。 その中にあって、カラコム鉱山付近の魔力値は異様に高い。 サーエイフ地方で相対的に高いのではなく、 世界的に見てもかなりの位置につけるほど高い値を示すらしい。 これらの資料を見るところでは、やはり細菌やウィルスの類が原因ではなく、 何らかの魔力が原因だと思えてくる。 しかし、この件に関しては、閉山当時の調査でも議論されたはずで、 結局は高い値を示す原因と魔力の種類が特定できなかったようだ。 ただ、ファイにはそれらの研究者と違うところがひとつだけある。 それは、あの夜のあの現象を体験したことである。 ファイには心当たりがあった。 あの現象のことはどの資料にも載っていない。 つまり、ファイがはじめて体験したことなのである。 と言うことは、ファイが他の研究者と違うところを探せば良いのだが、 どう思い出しても魔集石以外には考えられない。 すなわち、あの現象は自然界のエネルギーによるものだと言うことだ。 もしこの推論が正しければ、いくら魔力を測定しても、 魔力の種類が特定できないのは当たり前である。 自然のエネルギーが魔力として検出されてしまったのだろう。 となると、そのエネルギーが原因かもしれない。 が、調べるにしても、この分野に関しては文献がまったくない。 何しろ未だ、ファイの推論の域でしかないからだ。 ただ一応、この分野についての研究者もたった一人だけ存在する。 しかし、その人物に今、話を聞くことはできない。 この町の病院で、集中治療を受けている最中だからだ。 とりあえずこの推論を実証するには、鉱石などのサンプルが必要なため、 カラコム鉱山から調査隊がいなくなるのを待たなければならない。 少なくともあと一週間はいるだろうから、 その間に他のことについて調べることにした。 読み物コーナーへ |