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セラフィック・ブリーズ 第六話・調査内容 そのころファイは、ほうきにまたがって空を飛んでいた。 魔集石のおかげで空を飛びつづけても疲れることがない。 もちろんほうきは必要ないのだが、出発する寸前に診療所の裏に立ててあるのを見かけ、 「ほうきがあるほうがなんとなくそれっぽい」と思い持ってきてしまった。 コレキヨは掃除のときに困ることであろう。 ファイは、空を飛びながら、魔集石で飛ぶことの問題点を考えていた。 自由に空を飛べるといっても、それはあくまでも理論上のことで、 あまりにもスピードを出しすぎてしまうと風圧で息ができない。 何より、この季節の上空は予想以上の寒さで、スピードを出すのもままならないのだ。 風圧と寒さを避けるために、体の周りに空気の塊を魔法で出してみたりもしたが、 飛ぶスピードと同じ速度で空気を飛ばすには魔力が持たないし、 それを魔集石で補おうとすると、魔力が分散して、飛ぶスピードが落ちてしまう。 ただ、凍死するわけにはいかないので、仕方なく低速で飛ぶ。 昨日、カラコム鉱山まで行ったときは、定期船を飛び移る方法で行ったため、 長い距離を飛ぶこともなかったし、速度も低かったため、 この問題には気づかなかった。 魔集石を実用化させるには、それなりの乗り物が必要になるな、などと考えながら、 出発してから六時間弱。やっと鉱山へたどり着いた。 早速原因の調査にとりかかろうかと思ったが、 とりあえず鉱山は不気味なので、リチャード達を介抱した宿屋へ向かった。 この宿屋は、リチャード達が寝泊りしていた痕跡がある。 昨日ファイが来た時に、リチャードは元からここで横たわっていたし、 すべての荷物が置いてあることからも、間違いないだろう。 その荷物の中に、なにか手がかりでもないかと思い、まずここを調べることにした。 リチャードが何を調査していたのかだけでも十分手がかりになる。 期限は、明日の夕方までだろう。 というのは、明日の夜には国王が派遣した調査隊などが到着するであろうし、 リチャード達の容態も気になるからだ。 感づいたアートンが来てしまうのもまずい。 そんなことを考えながら、その辺をごそごそと探っていると、 ファイは、リチャード達の荷物の中から汚れたノートを見つけた。 汚れ具合から見て、これが調査記録のノートであろう。 おもむろにぺらぺらとめくってみると、なにやら難しい言葉で書きなぐってある。 が、そんなものはものともせずに、ファイはノートを読みつづける。 ノートには、鉱山から採取した鉱石の潜在魔力の推移と、 坑道のポイントによる魔力の変化が主に記されている。 さすがにファイも、それから何がわかるのかまではわからないが、 リチャードは昔の「伝染病」が、ウィルスや細菌によるものではなく、 鉱石から発する何かの影響だと考えて調査に来たのであろうということはわかった。 ファイは、ノートを読み終え、他に何か手がかりはないかと再び探り始めた。 荷物をすべて探り終えて、ふと机の上を見ると、 鉱石の破片らしきものが置いてあるのに気づいた。 それは金網のような入れ物に入れてあり、石そのものには電極が刺さっている。 電極のもう一端は計測器に接続されているので、 これで何かを調べているのだということはわかるが、 何のために金網に入れてあるのかがわからない。 ぜひ持ちかえってじっくり調べたいところではあるが、 問題の鉱石は、どの程度の量でどの程度の影響があるのかわからないため、 なんの準備もなしに持ちかえることはできない。 とりあえず、細かいことはコレキヨのところにいる学生に聞くとして、 他にこれといったものも見つからないため、今日はこれくらいで休むことにした。 気づけば、いつのまにか外も暗くなっている。 さすがに、ここで一人で寝るのは心細いので、 宿屋の周りに魔集石で結界を張って、それで休むことにした。 読み物コーナーへ |